マンガのネタに行き詰まったり、自分の作品への意見がほしくなったりしたことはありませんか?
この回では、ChatGPTに「プロの漫画編集者」になりきってもらい、ストーリーの原案を作る方法と、描いた短編を3段階の厳しさで添削してもらう方法を紹介します。
マンガを描いている方は、ぜひ読んで下さい!
今回の題材
マンガを描く方に向けて、ストーリーの土台をChatGPTに作ってもらう方法を紹介します。
趣味でも仕事でもマンガを描いている方は、ぜひ参考にして下さい。
今回の題材は、女子高生が夏休みに青春18きっぷを使って、ローカル線を乗り継ぐ旅の物語です。
ストーリーの原案を作る
ChatGPTには、「プロの漫画編集者」になってもらいます。
あなたは、プロの漫画編集者です。
今度、新人賞に応募するつもりです。
私が考えた次のアイデアをもとに、マンガのストーリーの土台を作ってください。
【タイトル(仮)】女子高生、ローカル線の旅に出る
【登場人物】優子(ゆうこ):主人公。
高校1年生。
アウトドア派で旅行好き。
/結菜(ゆな):優子の親友で同級生。
高校1年生。
インドア派だが、優子に誘われて旅に同行することを決める。
/灯里(あかり):優子と結菜の先輩。
高校2年生。
ムードメーカーで、旅上手。
受験前に思い出を作りたいと考えている。
英語で出力された答えを、日本語に翻訳したものです。
タイトルは「さすらいの列車」で、あらすじと、8つの章の構成が出ました。
- 誘いの言葉:優子が結菜を、ローカル線の冒険に誘う。結菜はためらうが、決心する
- 灯里との出会い:旅の途中で灯里と出会い、冒険に刺激が加わる
- 隠れた名所:三人で、地元の隠れた名所を発見する
- 挑戦と絆:予期せぬ状況に立ち向かい、友情が深まる
- 旅は続く:さらに遠くの町へ長い旅に出る
- 人生の教訓:それぞれが旅の途中で学び、成長する
- 別れと新たな始まり:入試を前に、いつか再会する約束を交わす
- エピローグ:結菜が、自分だけの列車旅に出発する
友情、自己発見、世界を探索する美しさをテーマに、旅の変革的な力が人生の視点を変えることを強調する、という内容でした。
そのまま使わず、リライトする
かなり本格的なストーリーが出ました。
ただ、3人が登場する順番がおかしく、登場人物が女性なのに「彼ら」という代名詞が使われています。
このままでは企画書として不適切なので、自分の言葉でリライトしていきます。
- 優子は、長期休暇のたびに青春18きっぷで旅行する。悩みは、一緒に旅行する人がいないこと
- インドア派の結菜は、断ろうと考えていたが、優子があまりに楽しそうなので、近場ならと答える
- 結菜のおばあちゃんの家がある群馬へ、1泊2日で、ローカル線で寄り道しながら行く
- 出発の3日前に、先輩の灯里が、旅行に同行したいと申し出る。優子は、灯里が自分より旅行に詳しいと知って、快諾する
- 旅の途中で友情が深まり、結菜は自信を持つようになる
- 1年後、灯里は受験勉強に専念するため、最後の旅に出る。受験が終わったら、また3人で旅をしようと誓う
- エピローグでは、インドア派だった結菜が、ひとりでローカル線の旅に出かけるようになる
最初に3人の設定を考えたときは、優子を中心に話が進む想定でした。
ところが、エピローグでは、結菜が主役になっています。
もちろん、これだけで完成度の高いマンガを描くのは難しいでしょう。
ただ、アイデアの土台にはなるはずです。
場合によっては、小説や舞台の原案にも使えるかもしれません。
創作をする方は、アイデア出しにぜひChatGPTを使ってみて下さい。
「バーチャル編集部」に持ち込んでみた
漫画の編集部への持ち込みは、やったことがありますか?
実は私は、1回だけあります。
出版社を直接訪ねたのではなく、2019年に参加したイベントの出張編集部に持ち込みました。
今回は、ChatGPTに編集部の役を演じてもらい、そのとき持ち込んだ作品(私が一から考えたオリジナルの漫画)を見てもらいます。
添削は、甘口、中辛、辛口の3つのモードで頼みました。
- 甘口モード:悪い点は指摘せず、良いところだけを褒めちぎり、モチベーションを高める言葉をかける
- 中辛モード:良い点を挙げつつ、悪い点も的確に指摘して、修正案を示す
- 辛口モード:改善が必要な箇所だけを、理由とともに具体的に指摘する
漫画では、漫画家を見下すような編集者がよく出てきます。
でも、それではモチベーションが下がってしまうので、どのモードでも、これから漫画家を目指す方に寄り添う口調で評価してもらいました。
あなたはプロの漫画編集者です。
添付した画像は、新人賞に応募するための短編です。
次の3つのモードで評価してください。
評価するだけでなく、次につながる改善点も教えてください。
日本語で回答してください。
【会話口調】新人漫画家に寄り添う、やさしい口調で。
厳しい指摘をするときも、「こうすればもっと上達しますよ」のように、前向きに伝えてください。
①甘口モード(悪い点には一切触れない。良いところだけを褒めちぎる)
②中辛モード(良い点を指摘しつつ、悪い点を的確に指摘し、修正のアドバイスをする)③辛口モード(改善が必要な箇所だけを、なぜ必要かを具体的に指摘する)
利用にはChatGPT Plusへの加入が必要でした。
原稿の執筆時の条件です。
ここで使ったGPTsも、年内には使えなくなる見込みです。
甘口では、表情の豊かさ、スムーズなストーリーの進行を褒められました。
中辛では、一部のページでセリフのバランスが大きいこと、コマの配置や大きさの見直し、重要なシーンでじっくり描写する余裕を持つことが指摘されました。
辛口では、表情とポーズのバリエーション、繊細な心理描写、場面転換のつながり、ページのレイアウト(文字とイラストのバランス)が挙がりました。
読みやすくするため、「良い点と改善点に分けて、箇条書きにしてください」と追加で頼むと、良い点が3つ(表情が豊かで感情が伝わる、物語のテンポがよい、背景が細かく描かれている)、改善点が7つ出ました。
指摘が当たっているか、自分で確かめる
ChatGPTなどのAIは、画像を解析する技術も進んでいます。
ただ、十分に解析できないケースもあるので、指摘が本当に正しいかを検証する必要があります。
セルフチェックで、3段階で評価しました(◎:よく当てはまる、◯:一部当てはまる、✕:当てはまらない)。
- 表情が豊か:◯。変わり映えしない表情が一部ある
- テンポがよい:◎。1コマごとに展開が進んでいく
- 背景のディテールが細かい:◎。多くのコマに背景を入れている
- セリフのバランスや字体:◯。変わり映えしないが、読みにくいとは思わない
- コマ割りと話の流れ:◎。不自然なところがあり、つながりが弱い箇所がある
- 重要なシーンでじっくり描写する:✕。感情移入のコマは大きめに取っている
- 表情やポーズのバリエーション:◎。乏しいのは当たっている
- 心理描写の繊細さ:◎。細かい心理描写ができていない
- 場面転換のつながり:◎。いきなり展開が変わる箇所がある
- ページレイアウト:◯。改善の必要を感じる
ほとんどの項目が、当たっていました。
ご自分で漫画を描いている方は、ChatGPTに添削を頼んでみて下さい。
そのうえで、指摘が自分の作品に合っているかを、自分の目で確かめるのが大切です。