職場での「話しかけにくさ」や「言いにくさ」は、新人にも管理職にもつきまといます。

この回では、教えてもらえず浮いてしまった新人と、わざと残業を増やす部下に悩む課長という、2つの立場の相談をAIに投げた結果を紹介します。

職場の会話に悩んでいる方は、ぜひ読んで下さい!


新人の悩みは、上司との会話

新入社員がよく悩むのは、上司との会話です。

研修が終わって配属されたものの、上司や先輩が忙しくて、質問したいことが聞けない。

かといって、自分の判断で勝手に進めるわけにもいきません。

そんな新人のために、プロンプトを作りました。


ケース1:教えてもらえず、1人浮いている新入社員

今年、中堅商社に入社した新卒社員からの相談という設定です。

6月に研修が終わり、7月から経営企画部に配属されましたが、部署はかなり忙しい。

慣れてきたら残業もしてほしいと言われていて、残業自体は問題ありません。

ただ、あまりに忙しい部署で、先輩や上司から、仕事についてほとんど教えてもらえません。

最低限の仕事はできるようになったけれど、もう少し覚えたい。

全員が忙しい上に、新卒で配属されたのは自分だけで、1人浮いている状態です。


「上司や先輩とうまく意思疎通する方法」を尋ねました。

プロフィールは、中堅私立大学の経済学部卒、どちらかというと内向的でインドア派(休日はゲーム三昧)。

受けたのは、研修と最低限のOJTだけです。


5つのAIの返答の違い

- ChatGPT-3.5(80点):積極的に質問する、メンターを探す、定期的に進捗を報告する、目標設定とフィードバックを受ける。

ややボリュームが少なく、少し難しい表現


- ChatGPT-4(100点):事前に質問を準備する(具体的な質問のリストを、短時間で答えやすく整理する)、適切なタイミングを選ぶ(始業直後やランチ後など)、簡潔で明確なコミュニケーション、小さな進捗ごとにフィードバックを求める、積極的に仕事を引き受ける、社内の研修や勉強会に参加する、メンターを見つける。

部署が落ち着いたころに、教育プログラムの充実を上司と相談する提案も


- Perplexity AI(100点):報連相を活用する、小さな質問を積極的にする、チームミーティングの活用、メンターを見つける、自己学習の継続、コミュニケーションツールの活用。

内向的な性格を強みに変えて、聞き手として力を発揮する、という見方も示されました


- Gemini(100点):積極的にコミュニケーション(質問、報連相、雑談)、周囲の状況を把握、周囲に貢献、自分の成長をアピール、経済学部の強みを活かす。

内向的な人のポイント(短時間から、聞き上手、質問の準備)とインドア派のポイント(ランチタイム、社内イベント)まで、状況に合わせた内容


- Microsoft Copilot(90点):適切なタイミングで話しかける、質問を用意する、自分から声をかける、共通の趣味(ゲーム)を探す、フィードバックを求める、遠慮せずに意見を述べる、他の人の時間を尊重する。

誤字が一部あり、ややビジネスライク


当時のモデルでの採点です(原稿を書いた2024年ごろ)。


質問をまとめて、手短に聞く

全体的に、かなり高得点でした。

あらかじめ質問をまとめておいて、先輩や上司に手短に聞くのは、とてもいいアイデアだと思います。

新社会人もベテランも、困ったときは、生成AIを相談相手にしてみるといいですよ。

プロフィールの性格や趣味まで書くと、「内向的な人のポイント」「インドア派のポイント」のように、状況に合わせた提案が返ってきます。


ケース2:わざと残業して、残業代を稼ぐ部下

みなさんの仕事には、残業はありますか?

私は、残業がゼロの現場から、月80時間の現場まで、いろいろな仕事をしてきました。

今でこそ残業は減らしたい派ですが、若いころは、残業代ほしさにわざと仕事を遅らせたことがあります。

残業代がついた日は、ぜいたくな夕食をとることが多く、結局、収支は変わりませんでした。

今回は、会社の管理者の立場で、残業代欲しさに無駄な残業をする社員への対策を、ChatGPTに相談します。


A社は、残業の多さで知られた会社でした。

ひどいときは月80時間を超えましたが、残業代は1分単位でついたため、数年で辞める人が多かったそうです。

2020年、コロナでテレワークが中心になると、最初は最大3時間の残業がありましたが、次第に効率的に進めるようになりました。

2023年にコロナが5類に移行すると、テレワークは週1回になり、出社が原則に戻ります。

仕事は忙しくなりましたが、AIツールなどで効率化して、残業を大幅に減らせました。

ところが、20代後半の男性社員Bさんだけが、残業代を稼ぐために、わざと効率を落としているようです。

先輩や上司が通りかかったときだけ手際よく見せるので、注意するのがむずかしい状況でした。


私は、プラスチック部品メーカーの課長です。

部下のBの残業時間で悩んでいます。

弊社は2023年から働き方改革に本腰を入れ、残業を減らしてきました。

ところがBは、何かと理由をつけては残業したがります。

同僚が理由をたずねると、「早く資産をつくってFIREしたい」との答えでした。

気持ちは理解できますが、残業代が増えると会社の利益を圧迫します。

残業の多さ以外に問題のない社員なので、機嫌を損ねないようにしたいです。

過度な残業を控えるよう説得する、具体的な方法を教えてください。


6つの手順

- 個別面談を設ける:人前ではなく、落ち着いて話せる場所で話す


- ポジティブに切り出す:働きぶりと貢献への感謝から始め、批判から入らない


- 会社の方針を共有する:働き方改革の目的と、残業削減に重点を置く理由を、改めて説明する


- Bさんの目標と合わせる:FIREを目指していることに共感を示したうえで、残業が最適な方法とは限らない、という視点を示す


- 代わりの案を示す:業務の効率化、スキルアップの研修、キャリアにつながるプロジェクトへの参加など、残業に頼らず収入や経歴を伸ばす方法を、一緒に考える


- 目標とフォローアップ:短期と長期の目標を設け、定期的に進捗を確認する


FIREを目指す理由を、推測してもらう

具体的な方法が分かって、課長さんはホッとしました。

ただ、1つ引っかかることがありました。

FIREは、いずれBさんが会社を辞めるということです。

Bさんには、将来、幹部候補になってほしいと思っていました。

仕事が嫌そうな様子はなく、むしろ楽しんでいるように見えます。

FIREについてBさんに直接たずねるのは、私生活に踏み込むことになるので控えたい。

そこで、ChatGPTに、理由を推察してもらいました。

  • 自由への憧れ:仕事を楽しんでいても、もっと自由に時間を使いたい
  • 仕事の不安定性への対策:将来の不安定さや予期せぬ事態に備えて、資産の基盤をつくりたい
  • 価値観の変化:経験を通じて、物質的な成功より、時間の価値を重視するようになった
  • ストレスや燃え尽きへの対応:充実して見えても、内面ではストレスを感じている可能性がある
  • 人生の目標や夢の追求:今の仕事では実現できない夢がある

「正確な理由は、本人の具体的な状況や価値観を知らなければ分からない」という注意つきでした。

課長さんには、心当たりがあったようです。

Bさんが、最善の道を選んでくれることを祈るばかりです。


私は、「FIREできる状態」に憧れはありますが、FIREそのものを望んではいません。

言い換えると、会社に雇われなくても、自分の事業の収入だけで暮らせるようになりたいのです。