35年のローンのあいだ、収入も出費も、ずっと同じとは限りません。

給料が減る日も、出費が増える日も、必ず来ます。

この回では、返済を揺さぶる収入ダウンと支出アップを整理して、その備えを紹介します。

長い返済を乗り切りたい方は、ぜひ読んで下さい。


住宅ローンを揺さぶるものは、大きく2つです。

収入が下がることと、出ていくお金が増えることです。


収入ダウン1:失業・リストラ・倒産

いちばん深刻なのは、収入が途切れることです。

会社員なら、リストラや倒産で職を失うことがあります。

フリーランスや経営者も、主な取引先の倒産や、契約の打ち切りで、収入が突然なくなる例は珍しくありません。

「いまは家計が黒字だから大丈夫」と思っていても、企業の都合でリストラが行われる例は、増えています。

どれほど真面目に働いても、このリスクはゼロにできません。


収入ダウン2:給与カットとボーナス減

不況のときは、給与やボーナスのカットが、ふつうに行われます。

ボーナス払いを使ってローンを組んでいる方は、ボーナスが減ったり、ゼロになったりした途端に、返済計画が崩れます。

会社の業績不振によるカットや、転職による年収ダウンも、珍しくありません。


収入ダウン3:定年後と再雇用後

定年後は、現役のときより、収入が大きく減ります。

定年後にローンが残る方は、かなり危険です。

定年までに完済できないと、再雇用や嘱託で働き続けても、収入は大きく下がるのが一般的です。

役職定年のある会社も、要注意です。

ローンは、収入が高い時期を基準に組むのがふつうなので、少し下がっただけでも、暮らしはぐっと苦しくなります。

「同じ働き方なのに、なぜこんなに減るの?」

と感じる方も多いですが、多くの会社で避けられない現実です。


私自身、いまは収入が安定していますが、ずっと続くとは思っていません。

だから、新しいことに挑戦し続けています。

会社員なら、副業やスキルアップで、収入源を分けておく。

フリーランスや経営者なら、取引先を分散したり、複数の事業を並べたりする。

収入ダウンは起こるものだと考えて、先に動いておきましょう。


支出アップ1:医療費と介護費

病気やケガの医療費は、誰もが最初に思いつく支出アップです。

自分だけでなく、両親の介護や、家族の通院でも、出費は一気に増えます。

医療保険や団体信用生命保険(団信)で、一部はカバーできます。

でも、自由診療、先進医療、介護サービスなど、保険の対象外の費用が積み重なると、想定以上の負担になりがちです。

長期療養で働けなくなれば、収入ダウンと支出アップが同時に来る、最悪のパターンです。

貯蓄や保険だけでなく、健康を保つ生活習慣そのものも、立派なリスク対策ですよ。


支出アップ2:教育費

お子さんがいる家庭は、大学の学費や進学塾の月謝に、注意して下さい。

私が卒業した大学の学費を調べたら、当時の約1.25倍になっていて、驚きました。

地方から都市部の大学へ進学すると、学費に加えて、家賃、光熱費、交通費もかかり、総額で数百万円の負担です。

奨学金、教育ローン、国の補助もありますが、返済が必要なものが多く、家計全体のキャッシュフローに響きます。


お子さんが小さいうちなら、新NISAのつみたて投資枠などで、教育資金を準備するのがおすすめです。

進学が近い家庭は、副業や支出の見直しといった、短期の工夫も必要になります。


支出アップ3:物価高

食料品、光熱費、通信費。

あらゆるものの値上げが続き、インフレの影響は、誰も避けられません。

収入を増やすことはもちろん大事ですが、お金をかけずに満足度を上げる工夫も大切です。


節約と聞くと、「好きなことを我慢して貯める」イメージがありますよね。

でも、お金を使わなくても、毎日を楽しく生きる方法は、あるはずです。

幼稚園や保育園のころを思い出してみて下さい。

お絵かき、工作、歌、園庭での遊び。

服が泥だらけになるまで遊んだでしょう。

「お金を使わないと楽しくない」と思った人は、ほとんどいないはずです。

それなのに、大人になるうちに、「人並みにお金を使わないと幸せになれない」と思い込んでしまう。

もったいないですよね。


たとえば、外食を控えて自炊にするだけでも、かなりの節約です。

飲食店の原価率は、おおむね3割前後と言われます。

自分で作れば、同じ料理が70%オフで食べられる計算です。

私は、外食を減らす代わりに、少し良い食材を買うようにしています。

黒毛和牛のステーキや、新鮮な魚介を、通販や専門店で買って、家で調理すると、外食より満足度が高く、コストは半分以下になります。


備える心構え

支出の増加は、ある日突然やってきます。

しかも、「少しずつ」ではなく、「一気に」増えることが多いんです。

だから、余裕のあるうちに、支出を減らす力を鍛えておきましょう。

まず、生活費の中で、削っても幸福度が下がらない項目を、見直してみて下さい。

サブスク、外食、コンビニ。

少し控えるだけでも、年間では驚くほど変わります。

収入を増やすのと同じくらい、支出が増えたときのダメージを小さくする工夫が、長い返済を生き抜く鍵になります。