ローンの返済を揺さぶるのは、お金の問題だけではありません。
契約の組み方や、家族の変化、そして地震。
この回では、住宅ローンに潜む4つの落とし穴を紹介します。
契約の前に知っておきたい方は、ぜひ読んで下さい。
お金の面だけでなく、契約の組み方と、家族に起こることも、返済に大きく影響します。
最後に、避けて通れない、地震の話もさせて下さい。
落とし穴1:返済額が同じでも、中身が変わる変動金利
変動金利の上昇を、心配している方は、いまも多いでしょう。
この文章を書いた2025年12月の上旬は、月内に政策金利が0.75%へ上がることが、ほぼ確実な状況でした。
実際に12月に0.75%へ引き上げられ、その後も、2026年6月に1.0%、9月に1.25%と、利上げが続いています。
金利が上がれば、将来の返済額が増えて、生活に負担が出る方がほとんどです。
ただ、日本の変動金利には、返済額が急に増えないための仕組みがあります。
- 5年ルール:5年間は、毎月の返済額が変わらない
- 125%ルール:返済額は、最大でも、いままでの125%までしか上がらない
125%ルールが使われても、増えるのは、最大で月2〜3万円ほど。
それなら安心だと思いがちですが、ここに落とし穴があります。
返済額が据え置かれていても、金利が上がれば、支払いのうち利息の部分が増えます。
その分、元本が減りにくくなり、総支払額は増えてしまうんです。
5年ルールも125%ルールも、家計が急に変わるのを防ぐ、一時的な緩和にすぎません。
金利上昇の影響を、なくすものではないのです。
変動金利を選ぶなら、繰り上げ返済や余剰資金の確保など、柔軟に動ける準備をしておきましょう。
落とし穴2:審査に通ることと、返せることは別
見栄や勢いで、都心のタワーマンションや、高額な一戸建てを買ってしまう例があります。
返済比率(年収に対する返済額の割合)が高すぎると、ちょっとした収入の変動で、家計が崩れます。
審査に通ることと、返せることは、別の話です。
返済比率は、年収の25〜30%を上限の目安にして、万が一に備えた余力を残して下さい。
不動産業界では、金利が上がって返せなくなり、売りに出る物件が増えるのでは、という声も出ています。
借りすぎた方が、支払いに耐えられず、家を手放す動きは、これから少しずつ増えるかもしれません。
ペアローンは、とくに要注意
夫婦がそれぞれ借りるペアローンは、一見便利です。
でも、どちらかが病気やリストラで働けなくなると、返済が一気に難しくなります。
私の知人にも組んだ方がいて、「本当に大丈夫かな」と心配になりました。
さらに、いまは3人に1人が離婚する時代と言われます。
離婚や別居で世帯が分かれると、契約上、片方だけで返済を続けるのが難しくなることが多く、最悪の場合は、家を手放すことになります。
落とし穴3:家族に起こる変化
単身赴任や転勤も、家計に響きます。
自宅と赴任先で、生活費が二重にかかり、交通費も増えて、世帯の収入が、実質的に減る場合があります。
転勤は避けられないこともありますが、返済にどう影響するかは、事前に想定しておきたいですね。
家族構成の変化も、見逃せません。
出産で扶養が増える、親の介護が始まる、お子さんが仕事を辞めて実家に戻ってくる。
家族が増えたり減ったりすると、収入と支出のバランスが変わります。
扶養が増えれば、生活費、教育費、医療費の負担が大きくなりますし、介護が始まれば、時間にも気持ちにも余裕がなくなります。
家を買うときは、「家族を幸せにしたい」という強い思いがあったはずです。
その思いを守るために、家族に起こりうる変化を、先に織り込んで計画しておきましょう。
落とし穴4:地震は、別物のリスク
ここまでのリスクとは別に、1つだけ、怖い話をさせて下さい。
地震です。
この文章を書いている2025年12月の上旬にも、青森県や北海道の周辺で、最大震度6強の地震がありました。
被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
私も、震度6弱を経験したことがあります。
自宅はほとんど被害がありませんでしたが、周りでは倒壊した家もあり、本当に大変な状況でした。
「地震だけは、どうにもならない」と痛感しました。
地震保険の限界
「地震保険に入っていれば、大丈夫でしょ」と思いますか?
ところが、補償は、全損・大半損・小半損・一部損に分かれていて、支払われる割合は、保険金額の100%・60%・30%・5%です。
保険金額は、火災保険の30〜50%の範囲で決めるため、たとえば保険金額が2,000万円で、一部損と判定されると、下りるのは100万円です。
しかも、家が壊れても、ローンは消えません。
これが、地震リスクのいちばん恐ろしいところです。
収入が減る、病気、リストラ、教育費や介護費といったリスクは、資金計画や防衛資金、配当の積み上げで対応できます。
でも、地震だけは、それだけではカバーしきれません。
災害時の減免制度が使える場合もありますが、資産を築いている方は、「資産がある」という理由で、対象外になる可能性が高いです。
ここは、見方を変えてみて下さい。
積み上げた現金が、最強の地震保険
私は、積み上げた現金こそ、最強の地震保険だと思っています。
家が壊れても、その現金で修繕する、いったん賃貸に住む、安い中古住宅を買う、と選択肢を持てます。
現金があるというのは、人生を立て直す力そのものなんです。
地震保険に入るかどうかは、ご自身の判断にお任せします。
ただ、どんな保険よりも頼りになるのは、自分の資産を持っていることだと、私は思います。