節約を始めても、いつも三日坊主で終わってしまう。

そんな悩みはありませんか?

それは、あなたの意志が弱いからではありません。

人間にもともと備わった、行動のクセが原因です。

この回では、節約が続かない本当の理由と、我慢せずに続ける習慣を紹介します。

挫折した経験がある方は、ぜひ読んで下さい。


節約が続かないのは、根性の問題ではない

先にお伝えします。

この本がすすめるのは、親も子も我慢する節約ではありません。

我慢を土台にした節約は、必ず息切れするからです。

目標は、お金を使っていないのに、満足感や幸福感が高い状態です。


節約に挫折すると、多くの人が「自分は意志が弱い」と責めます。

でも、それは誤解です。

行動経済学や心理学によると、節約が失敗するのは、人間が生まれつき持つ性質のせいです。

あなたに欠点があるわけでも、能力が低いわけでもありません。

誰にでも起こる、ごく自然な反応です。

この仕組みを知らずに、気合だけで乗り切ろうとすれば、うまくいかない確率が高くなります。


その性質とは、遠い将来の大きな得より、目の前の小さな満足を選びやすい、という傾向です。

行動経済学で、「現在バイアス」と呼ばれます。

貯蓄が計画どおり進まない最大の原因が、これです。

頭では「将来のために貯めよう」と分かっていても、外食や買い物、旅行の誘惑に負ける。

脳の働き上、仕方のないことなのです。


だから、我慢頼みの節約は、してはいけません。

我慢は限界を迎え、必ず、反動の出費を招きます。


我慢は、ストレスと浪費を呼ぶ

我慢を強いる節約は、脳にはストレスでしかありません。

支出を抑えること自体が苦行になると、ストレスがたまります。

すると、人は気分を取り戻そうとして、お金を使います。

つまり、ストレスの発散としての浪費が、増えてしまうのです。


さらに怖いのは、一度の無駄遣いで、「もう、どうでもいい」と投げ出し、節約そのものをやめてしまう例が多いことです。

心理学の「どうにでもなれ効果(What-the-Hell Effect)」に近い現象です。


続く人は、意志でなく仕組みを使う

では、固定費を下げて、着実に貯めている人は、特別に我慢強いのでしょうか。

答えは、NOです。

続く人は、次のような工夫をしています。

  • ルールを、自動で回る仕組みにしている
  • 節約の成果を、数字で見えるようにしている
  • 判断する回数を、できるだけ減らしている

たとえば、給料が入ったらすぐ貯金に回す「先取り貯蓄」や、固定費を一度にまとめて見直す方法です。

そうすれば、毎月の努力が要らなくなります。

「買うか、我慢するか」と、その都度迷わずに済む環境が、できているのです。


大切なのは、頑張らなくても続く形を作ることです。

意志に頼らず、仕組みで回す。

それが、挫折しない節約の唯一の正解だと、私は考えています。


この本が目指すのは、我慢して削る生活ではありません。

お金を使わなくても、快適で楽しい暮らし方を、身につけることです。

豪遊したのに、混雑と渋滞で疲れ果てた、という経験は、誰にでもあるでしょう。

お金を使わないから快適で楽しい。

そんな状態をめざします。


有名なYouTuberの方が、「お金を貯めたければ、お金を使わない選択をしろ」と話していました。

満足度を上げるには、何を買うかより、何を買わないかを決めるほうが大事です。

選択肢が2つあるなら、お金のかからないほうを、意識して選びましょう。

この思考の習慣が、お金を増やす第一歩です。


衝動買いを止める「1週間ルール」

欲しいものができたときは、大人も子どもも、「1週間ルール」を試して下さい。

「欲しい!」

と思っても、その場では買わず、1週間待つのです。


本当に必要なら、1週間たっても、欲しい気持ちは変わりません。

実際は、「どうして、あんなに欲しかったんだろう」と、熱が冷めていることが大半です。


子どもが「あれ買って!」

とねだったら、頭ごなしに断らず、こう伝えます。

「いいよ。ただ、本当に必要か考えるために、1週間待とう。来週もまだ欲しければ、そのとき、どうして必要かプレゼンしてね」。


1週間後に、子どもが熱心にそのおもちゃの必要性を語るなら、本当に価値のある物かもしれません。

多くは、熱が下がっています。

この冷却期間が習慣になれば、浪費が減り、価値ある物にだけお金を使う、賢さが育ちます。

誕生日やクリスマスのプレゼントは、欲しい物を買ってあげてくださいね。


5分の我慢と、スペックより目的で選ぶ

喉が渇いた場面を、想像してみましょう。

目の前の自販機には、150〜200円のジュースがあります。

でも、あと5分歩けば家に着き、水もお茶もあります。

ここで、「家に着いてから飲もう」と決められるかが、分かれ道です。

猛暑で熱中症の危険があるなら、話は別です。

大切なのは、絶対に使わないことではなく、いま本当にその出費が必要かを、見極めることです。


娯楽も、同じです。

「話題の映画を観よう」と思ったら、チケットを買う前に、いったん立ち止まります。

  • レビューや、SNS(Xなど)での評判を確認する
  • 「いますぐ、劇場で観たいか」を、自分に問う

それほどでもなければ、契約済みのAmazon Primeなどで、前から観たかった別の作品を楽しみます。

これだけで、数千円が浮きます。


家電やスマホの買い替えにも、この考え方は使えます。

高性能な最新モデルは魅力的ですが、自分に必要な機能かを、先に考えます。

私がスマホに求めたのは、仕事に耐える処理速度と、特定のアプリが動くことだけでした。

結局、型落ちのモデルを買い、今も使っています。


不良在庫を見直し、お金が増える「バグ」を起こす

家の中の、「買ったのに、ほとんど使っていないもの」を、一度見直してみて下さい。

次の3項目で、リストを作ります。

  • いつ買ったか
  • なぜ欲しいと思ったか
  • いま実際に使っているか

書き出すと、衝動買いの品が、どれだけ使われずに眠っているかが分かります。

将来の無駄遣いを防ぐ、強力な薬になります。


基本は使わない方針ですが、例外もあります。

  • 教育(自己投資)
  • 医療や健康
  • 今しかできない思い出(子どもの入学・卒業・就職・結婚など)

プラスになると確信できるものには、積極的に使って構いません。

ここを削りすぎるのは、禁物です。


「お金を使わない選択」を貫くと、面白い現象が起きます。

支出は限界まで下がるのに、自己投資でスキルが上がり、収入と資産は増えていく。

まるで、ゲームのバグのような状態です。

このサイクルに入れば、お金が増えるスピードは、加速します。